いつものマイナビnowにプラスして、もっとリアルなマイナビの今をお届けするマイナビnow Plus。第20回目は、全国初、「地域活性化起業人制度」で市役所の人事へ出向――マイナビが地方自治体に提供できる価値とは・・・をお届けします。
2024年4月、地方自治体の採用力向上を目的に、マイナビが新潟県燕市と「地域活性化起業人制度による派遣に関する協定」を締結したことをご存じでしょうか。
この協定によって、2024年4月より新潟県燕市に2年間出向し、同市の職員採用・人材定着における業務を支援していたのがS.Wさんです。
地域活性化起業人制度(※)によって、民間企業が自治体の内部業務の支援を行ったケースは全国初。
これに続くかたちで今年の3月からは、広島県呉市に人事企画本部の土岐川直也さんが出向しています。(土岐川さんのご活躍はマイナビnow6月でも取り上げさせてもらっています!)
今回は2年間の燕市役所での勤務を終えたS.Wさんに、出向の背景や出向先の燕市役所での業務、マイナビの今後の自治体との関わり方・提供できる価値についてお話を伺いました。
プロフィール
S.Wさん 人事企画本部 人事戦略統括部 人事戦略部 人事企画チーム 人事企画2課
2016年に新卒入社。青森支社での就職情報の営業を経験した後、福島支社に異動して営業課長を務める。
2024年4月からは「地域活性化起業人制度」によって、新潟県燕市の市役所で総務課人事係の職員として2年間、人事業務を担当。2026年3月に任期を終え、本社配属となり現在に至る。
※地域活性化起業人制度とは
三大都市圏に所在する企業と地方圏の地方自治体が、協定書に基づき、社員を地方自治体に一定期間(6か月から3年)派遣し、地方自治体が取組む地域課題に対し、社員の専門的なノウハウや知見を活かしながら即戦力人材として業務に従事することで、地域活性化を図る取組です。
引用:総務省「地域活性化起業人制度とは」
この制度は一般的には観光PRなど外部向け業務で活用されることが多いのですが、今回のように「人事領域」という内部業務に活用されたのは全国でも初めてのケースでした。
出向のきっかけと決断
燕市へ出向のお話をいただいたときは、率直に「貴重な機会だな」と感じたのを覚えています。
もともと支社で働くなかで「マイナビが地方創生の根幹にいる世界をつくりたい」という想いを持っていました。今回の出向は、実際に自治体の内部に入り込む取り組みだと聞き、「これは挑戦するべきだ」と、その場で出向を決めました。
一方で、自治体特有のルールや文化の中で自分が通用するのかという不安や、この取り組みを支社で働くマイナビ社員の新たな可能性につなげることができるかというプレッシャーも感じていました。
燕市役所での業務内容
今回の出向は「地域活性化起業人制度」に基づくものです。
自治体、特に市役所はジョブローテーションが基本のため、専門性が蓄積しにくいという課題があります。そうした中で、民間人材を受け入れ、行政サービスの質を向上させることを目的としています。
燕市では「総務課人事係」に所属し、職員採用の主担当として業務に取り組みました。
具体的には、採用サイトやナビの管理、HPの更新、説明会資料の作成、応募者対応、面接日程の調整、面接官への指導、会計年度任用職員(パート)の採用対応など、採用業務は一通り担当しました。加えて、内部からの問い合わせ対応や、協議(会議)の調整・交渉なども行いました。
業務の幅は非常に広く、「採用担当としてやることはすべてやった」という感覚があります。
その中で特に印象的だったのは、施策の企画や改善にも深く関わったことです。
例えば、新潟県内の自治体で初となる「Webオープン・カンパニー」(※)を自ら提案し、実現しました。
※オープン・カンパニー:仕事や業界に対する理解を深めるために行われるプログラムです。見学や交流会、説明会などを中心に開催されます。それに対して実務型もしくは模擬体験型の就業体験ができるのが、インターンシップや仕事体験です。大学生の全学年が対象です。(引用:マイナビSTART「オープン・カンパニーとは?」)
ここでポイントとなったのは、広告にかけられる費用には限りがあるため、市民に広く周知するには、報道機関に関心を持ってもらい、取り上げてもらう必要があることです。
そこで、燕市で毎月行われていた市長の定例会見の場を活用して発信するなど、どうすれば報道機関に注目してもらえるかまで考えながら進めました。
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また、インターンシップについても、コース数を20から30程度まで増やし、受入人数も拡大しました。
さらに、SPI3からSHLへの切り替えや、AIを活用した書類選考ツールの導入など、選考プロセスの改善にも取り組みました。
このように出向の立場として数々のアップデートを行いましたが、行政ならではの難しさを感じる場面が沢山ありました。
例えば、市役所は「職員の負担を減らすためにお金を使う」ことに慎重な文化があり、単純な効率化をゴールとした提案は通りません。
そのため、工数削減が成果にどうつながるかをロジカルに伝えるなど、アプローチの工夫が必要でした。 また、市役所の仕事は「施策を考えて終わり」ではありません。
限られた予算・人員の中で、「誰のために、何に使うのか」という観点が非常にシビアであり、さらに「市民にどう届けるか」までが責任の範囲です。
広報や記者対応、場合によっては土日のイベント対応までやって、初めて仕事が完結するという感覚でした。
印象に残っていること
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2年間で特に印象に残っているのは、言葉の重みと説明責任です。
職員も市民のひとりなので、自治体の発信は、職員にも影響を与えます。自分が発信した内容を最初に見るのは職員であり、その内容がそのまま組織や市の在り方として受け取られる。
発言一つひとつに社会的な意味があるという緊張感は、これまでにないものでした。
また印象的な業務として、3か月に1回開かれる議会があります。
そこでは市議会議員から、施策について厳しい視点で問われる場面もあります。私は想定される質問を予測し、中継を見ながら回答者にチャットで回答案を送る役目でした。
事前に議会の議事録を読み込み、質問を予測しながら準備をしていました。
ただ、当日に回答者が的確に答えるためには、私が準備するだけでは不十分です。
そのため、施策の必要性や要点について、日頃から細かく認識をすり合わせておくことの大切さを強く感じました。
出向で得た学び
出向での一番の学びは、自治体の内部に入ったからこそ見える視点を得られたことです。
営業の頃は自治体をひとくくりに捉えていた部分がありましたが、実際にはそれぞれの自治体に歴史や文化があり、意思決定の仕方も大きく異なります。現場に入って初めて見えたものが多くありました。
また、第三者的な立場として関わったことで、組織の外と中の両方の視点を持ちながら、燕市らしさを採用に反映できたことも、大きな価値だったと感じています。
今後のマイナビと地方との関係
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全国に拠点を持ち、各地域に深く関わっていることはマイナビの非常に大きな強みだと思っています。
地方支社があるからこそ、地域ごとのリアルな実情を理解し、それを踏まえた関係構築ができる。これは他社が簡単に真似できるものではなく、大きな価値になるはずです。
今回の出向を通じて強く感じたのは、自治体は「一緒に悩んでくれる存在」が圧倒的に少ないということです。
自治体は、民間企業とは異なる制約の中で動いています。そのため、単発施策の提案やプロダクトの提供だけでは、本質的な価値提供にはなかなかつながらないと感じました。
むしろ重要なのは、自治体がどんな背景や制約の中で意思決定をしているのかを理解したうえで、同じ目線で考え、伴走することだと思っています。
今回の経験の中でも、施策を進めるにあたって多くの関係者との合意形成が必要でした。
だからこそ、そのプロセス自体を理解し、寄り添える存在であることが、マイナビの価値になると感じています。
また、自治体ごとに文化や歴史、組織の特徴が大きく異なるという点も重要です。
実際に現場に入ってみて、「自治体は一括りではない」と実感しました。だからこそ、表面的なニーズではなく、その地域ならではの特性まで踏まえた提案が必要です。
今後のマイナビは、「サービスを提供する会社」ではなく、「自治体の意思決定のプロセスに寄り添いながら、一緒に考え続けるパートナー」であることが求められると思います。
今後の目標
今後は、地方での営業経験と今回の出向経験を活かし、複数の視点から状況を整理しながら、納得感のある形で全社の意思決定を支えていきたいと考えています。
全社戦略の実行において、「意思決定の質を高める存在」であり続けたいです。
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※所属を含む掲載内容は取材当時のものです。


