マイナビ卒業生は今、どこで何をしているのかを追う「あの人は今」。
今回はマイナビに中途採用で入社し、転職情報事業部で働いた後にNPO法人「キャリア開放区」を立ち上げ、「就活アウトロー採用」を手掛ける納富さんにインタビューさせていただきました。非常に個性的なこのサービスをなぜ展開しているのか、志と事業経営の両立の難しさなど、参考になるお話をいろいろ聞いてきました。
(取材:羽田啓一郎)
マイナビを退社し、就活アウトロー採用を立ち上げた理由
ー今日はよろしくお願いします。就活アウトロー採用は聞いたことがあったのですが、まさか元マイナビの方がやっているとは知りませんでした。納富さんは転職情報出身なんですよね?
そうですね、もともと新卒で入社したのはテレビ番組の制作会社だったのですが、社会人4年目の時に当時の毎日コミュニケーションズに転職しました。理由は単純で、テレビ業界は給料が安かったからです。もっと稼ぎたいなと思って営業未経験でしたが営業として2005年に入社しました。そこから2008年8月までなので、3年くらいしかマイナビにはいないのですが。
ーあ、そうだったんですね。ちなみにどうして退職しようと思われたんですか?
言いづらいんですが、社内政治が嫌だなと思ってしまいまして。
ー(笑)
当時、周囲を見ていて自分は出世には興味がないんだな、と痛感したんですよね。社内の中でどうまく立ち回って出世していくかより、いいサービスを作ることに集中したいと思ったんです。それで社会的な意義が高い事業をやっている会社で働こうと思って障がい者支援の会社に転職しました。その後もいろいろあったのですが、今はあらゆるところで有名な若新雄純さんと出会う機会があり、彼が構想していた就活アウトロー採用を一緒にやろう、ということでキャリア開放区というNPO法人を立ち上げることになったのです。
ー民間企業の起業ではなくNPOなのは何か理由があるんですか?
障がい者支援活動をしている中でアクセンチュアさんと繋がって、いろいろサポートいただけることになったのですが、私達がやろうと思っていることは非営利団体の方がいいのではないか、というアドバイスをいただいたんです。
ー知らない方のために就活アウトロー採用について教えていただけますか?
簡単にお伝えするといわゆる一般的な就活をしない方を対象とした就職マッチングサービスです。一生懸命就活をする人が本当に優秀と言えるのか?という疑問がありました。新しい価値観を創造する人はだいたいアウトサイダーじゃないですか。今の就活スタイルに馴染めないのは別に間違っていない。だから就活をやらなかった、しなかった若者を集め、型にハマった”就活”をさせずに就職をさせる。そんなサービスですね。
効率性とビジョン追求の葛藤

ーいわゆるポータルサイト運営ではなく、ワークショップを中心としたマッチングサービスなんですよね?
はい、ワークショップというかリフレクション型の対話の場を作っています。若者とアウトローを採用したい企業に集まってもらい、テーマに合わせていろいろ議論させていくんです。企業の方も採用担当者としてではなく、社名も肩書きも捨てて一人の人間として彼らと向き合い、モヤモヤしている若者の内面を解きほぐし、内発性を引き出していくのです。いかに”就活”をさせずに就職をさせることができるかが重要なポイントです。
ー結構手間暇かかりそうですね・・・。
そうですね、モデルとしてはいわゆる人材紹介にあたるんですが、正直内定と入社をさせるだけならマッチングをこっちでやった方が早いです。でも僕は効率を追い求めるのではなく、非効率だけど本質的なことをやりたかったんです。
ーマイナビを退職した理由もそこですものですね。人材業界は理念やビジョンとビジネスの両立が難しい業界でもあります。
そうですね、正直私も葛藤はありますよ。効率性を取りたい時もありますがそこはグッと我慢をしています。私以外のスタッフは業務委託で動いていただき、なるべく固定費をかけずに経営していますね。いくらいいビジョンを掲げていても、固定費や数字目標を決めた時点で矛盾が起きてくる現場をたくさん見てきました。理念を数字に落とし込んでいくと本質からずれていくんです。大きくすることを追求しないためにもNPOという組織体にしたのです。
ーコロナを経て、若者は変わりましたか?
わかりやすいやんちゃな若者は減ったのかな、とは感じています。アウトローを産まないような社会になってきていますよね。いい子でいなさい、という圧力が強いなと。ただ、若者のエネルギー自体がなくなったわけではなく、どこに出せばいいのか分からなくなってるのだと思います。どこにも向けられないエネルギーが今はネットやSNSに流れてしまっているのかなと。
ー社会変化のひずみは若者の方が影響大きそうですね。
いろいろ変わってきてはいますね。私はワークショップ研修を通して組織開発をご支援する仕事もしています。というのも、組織の入り口である採用をよくしただけではダメで、入った後の組織を変えていかなければならないのだなと思ったからです。企業研修というと階層別の研修はよくありますが、実際に一緒に働くのって横のつながりであるチームじゃないですか。だから階層別ではなく、チームをエンパワーする方が効果があるのではないかなと思っているのです。
もっといい人生、もっといい組織を

ーありがとうございます。若者にはどんなメッセージを送りたいですか?
そうですね、自分らしい人生を生きてほしい、と思いますね。誰かの期待に応え続けるのはしんどいですよ。型にハマった生き方じゃなくて、もっといろいろあっていいと思うんです。採用だっていろいろなやり方があっていい。予定調和ではない予期せぬ出会いをもっと作りたいですね。飲み屋とかで出会える偶然の出会いがあってもいいじゃないですか。枠にはまった自己分析や業界研究では感情は動かないですからね。
ーでは最後にお聞きするんですが、マイナビ時代に学んだことはどんなことがありますか?
マイナビ時代の経験で今に生きているのは営業経験ですね。泥臭いテレアポをたくさんしました。当時はまだマイナビ転職もサービスの競争力が低かったので、営業が頑張らないと売れないし継続してもらえない。どうすればお客様に評価してもらえるか、自分の成果とお客様の成果を出すにはどうすればいいんだろうと考え続けたのは、メチャクチャいい経験でしたね。
ー私も2003年入社なのでとてもわかります。当時のマイナビは弱かったですからね。
あとは組織のあり方を考えるきっかけになったことですかね(笑)。もっといい組織作れるんじゃないかというのはマイナビが原体験です。なんでみんなこんな疲弊してるんだろう、と。もっとよくできるんじゃないかと思っていましたね。
ーそこは今はマイナビも改善されているようです!今日はありがとうございました!


